大変お世話になった、叔母さんが亡くなった。
母の弟だった叔父さんにお嫁に来てくれた。
叔父さんは20年ほど前に亡くなっている。

式は群馬県の吾妻線中之条駅に近く、叔母さんの実家から歩いても行ける施設で行われた。
私は胸の傷みと治療薬の副作用で体調が悪く、姉夫婦に出席を託した。

叔母さんの家は榛名山の麓、西北にある。最寄りの駅は中之条だが、高崎からのバスもある。 榛名山の反対側、東北側の麓には伊香保温泉がある。
いずれも鉄道の駅からは、バスを1回バスを乗り換えなければならない直通バスは無い。
床屋の横のバス停から、叔母さんの家までは山道を40~50分歩かなければならない。
車なら20分くらいだが、冬場車で行ったときはスリップして登るのに苦労した。

叔母さんの家は、斜面に流れる、小川沿いちょっと平らになったところに建っている。
川沿いに、それぞれ80メータくらい離れて、3軒並んだ集落になっている。
叔母さんの家はその真ん中で、行くには下の家の庭を通る、後ろの丘から50メーターくらい引き込んだ道を入る。
前の山の向こう側の舗装された道から引き込んだ道から入る。
ただ、この道と家の間に小川があるので、車が通れる橋を作るのは簡単ではない。
台風などで増水し、橋が流されたこともあった。
叔母さんと裏の小さな畑に行った。トウモロコシ、茗荷、花豆を作っていた。突然叔母さんが 「そこにいるのは分かってんだ、悪いことするんじゃねえぞ」と大声で言った。
向こうの藪に猪の親子が潜んでいるのがわかったそうだ。

畑には竹や木や豆棚づくりの棒で柵を作ってあるが、猪の家族は気にもしない、トウモロコシが一番おいしくなった夜、家族そろって食べにくる。
お腹一杯になれば帰れば良いのだが、もうすぐ食べごろの若いトウモロコシを鼻や足でつついて遊んで帰る。当然傷物で出荷出来ない。
猪に荒らされた後、私と家族がトウモロコシの残りを漁りに来た。
息子と娘、小さいころから遊びに来ている、叔母さんも小さくなった。
熊も出るし、イタチやネズミもいる。
冬雪が降ると、舗装道路までは除雪されるが家までの引き込み道は集落で何とかしなければならない。
家の周りは叔母さんが雪かきするしかない。
叔父さんが亡くなってから、息子を勤めに送り出し長い間一人で暮らして来られた。 叔父さんが亡くなる10年ほど前におばあちゃんが亡くなったが、叔父さんと二人の暮らしの時間は、静かで叔母さんにとってとても幸せな時間だったと思う。
叔母さん、お世話になりました。
ありがとうございました。