年金は少ないし老後の頼りにならない。年金制度がいつまで続くかもわからないのに、40年以上掛け金を払うだけ無駄。 
こんな意見も少なくありませんが、年金は貯金ではありません。貯金は一生懸命貯めても使い始めればあっという間に底をつきますが、年金は65歳から死ぬまで支払われる仕組みの保険です。 
たとえ月に10万円で暮らしても、65歳から95歳までの30年間では3600万円必要です。これだの額を65歳までに貯めるのは大変だと思います。 
もし、物価が毎年2%上がると6520万円に跳ね上がります。もちろん銀行金利も上がりますが、あげてくれるのは大分遅れてからになりますので、元金を食いつぶしていく生活では金利上昇の効果は薄まります。 
また銀行は潰れるかもしれませんし、大戦の際に国家が預金を封鎖したこともありました。 運悪く正規雇用ではなく厚生年金に加入できなかった場合、個人負担で加入する国民年金になります。 
40年納め続けて月に6万5千円程度支給されます。 
十分ではありませんが65歳から終身、死ぬまで支払われる保険です。
また、国民年金基金に加入して多少でも年金を増額することもできます。 上と同様10万円で暮らすと、月に3万5千円不足、95歳までには1260万円が不足しますが、75歳までのアルバイトや内職で何とか見込める金額だと思います。
 厚生年金受給者も国民年金制度の部分は基礎年金として区分されています。 
厚生年金は基礎年金に7~15万円程度加算されます。金額の差は保険支払額、つまり平均給与収入額で決められています。 
このような生涯支給額が保証されている仕組(確定給付企業年金)が普通でしたが、最近は年金の徴収額(=+企業の補填額)が決められている確定拠出年金制度を採用する企業が多くなっています。 
その理由は多くの企業の年金を集め、資産運用していたたくさんの企業年金基金が破綻したためです。個人と雇い主が毎月預けていたお金の運用を失敗して、年金のための資金が不足する企業年金基金が増え、国に年金の徴収機能を返上しますと宣言して解散しました。 
そこで、従業員と雇用主が負担した金額は、従業員個人が運用しなさい、従業員が会社が変わってもその投資運用掛け金、運用資産などの権利は従業員にありますという制度で、運用益は無税とした仕組みが出来ました。 
資本主義が続く限り、社会が成長する限り変な投資をしなければ老後資金は賄えるはず!と責任を自己負担としました。
  厚生年金に加入したくても非正規社員契約で厚生年金に加盟できない人も沢山います。厚生年金制度では従業員が積み立てる社会保険料と同額を雇用主=会社が併せて負担する仕組みなので、積立額は大きくなります。
しかし、厚生年金制度も2階建て部分の運用は自己責任で自分でやってね。という仕組みに変わっています。 
非正規雇用であっても、収入は多くなくても将来退職後の収入は国民=基礎年金と積立資金の運用益に委ねられていますので、40年間何らかにコツコツ投資する必要があります。 自分自身への投資=資格、教育、技能、職人も欠かすことはできませんが、30年~40年先の社会を考え何らかに少しづつ、目先にあまりとらわれることなく投資を続けることが必要です。